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春のイトウ

5月に入り、イトウの季節がやってきた。イトウの季節は調査のお手伝いから始まる。土嚢作り、ヤナの設置で労働作業。毎年イトウの産卵状況や産卵親魚の数などを数え、イトウが増えているか、減っているかを調査している。そのお手伝い。砂利を掘って土嚢を150個作り、ダニも一匹付きました。


産卵を無事終えたイトウを捕獲して、計測し再び川へ放す。その捕獲のためのヤナの設置。その他、密漁者のパトロールなどイトウを守り、増やすための地道な活動を行っている人たちがいる。ヤナの設置が無事終ると、一匹の雄のイトウが上ってきた。




イトウの春 

イトウは春に産卵する。産卵場所へ向かうイトウは雪解け水の増水に合わせて川を上る。そこに堰堤や落差があると、イトウが産卵場所へいくことができず、産卵できなくなる。雄イトウは 赤やオレンジ色になる。雌を巡り激しく喧嘩するイトウは、あちこちに傷だらけ、雌イトウは卵を産むために、体を使って砂利を掘る。人間でもスコップで重労働なのに、イトウは尾びれを使って掘る。雄も雌も子孫を残すために必死。雄は早く上ってきて 雌を待つ、 雌は三回産卵し、産卵後すぐに川を下る。 雄は残り次の雌のイトウを待つ。

イトウの調査は毎年行われ、産卵期が終ったら、川に残された産卵床を数えて歩く。背丈よりも高い笹薮の中をヒグマの恐怖もある。そんなイトウを調査する人達の地道な苦労が、楽しいイトウ釣りの陰で行われている。毎年、頭が下がる思いで、少しだけだけど、肉体労働でご奉仕、還元させてもらっている。

2018年のイトウ釣りのガイドスタート

 

イトウの産卵が終わり、湖にイトウが戻ってくるころからイトウ釣りがスタートする。杉坂さんから修理を終えたネットも戻ってきて、いよいよイトウ釣りのガイドスタート。

今年の朱鞠内湖は濁りがきつくかなり難しい状況。さらにワカサギの産卵が遅れているのか、岸にまったくワサカギの姿がないという。この2つの理由からか、イトウがまったく釣れていない。この状況、どうするか?「こんな状況の時こそ、釣りたい」と掻き立てられるが、どうするか・・・

 

午前中は、あちこちうろうろ濁りの薄い場所をさがして、状況の把握で終る。ワカサギの姿もイトウも見えない。午後に前日に釣れたという場所に行ってみる。流れ込む支流があるので濁りが薄い。釣れそうな雰囲気で、運良くイトウが釣れた。

イトウ初挑戦というゲスト、初日でいきなりいいサイズ。岸でボーっと休憩している間に、他にイトウがいないか木に上ってイトウを探すと、60センチと80センチのイトウ発見。ゆっくりとブッシュの中を泳いでいる。とつぜんブッシュに突っ込むと、ブッシュの中から20匹ほどのワカサギが逃げ回る。水深50センチほどの場所で繰り広げられていた。その日は、一匹釣れたの満足で終了。

2日目の朝

どこへいこうか悩みながら前日に雰囲気が合った場所に向って朝4時にボートを出す。湖の水温をあちこち計りながら、状況を探る。朝一 水温4度の場所から、水温が上がりやすい南に面した場所は6度。濁りも若干薄い。なんとなくいい雰囲気だと思いつつ、 曇り 無風雨 べた凪。静かな中で良く観察すると、岸際30㎝の場所で水面が揺れているのを発見。これがラッキーだった。

ワカサギの群れが岸ぎわを泳いでいた。産卵でワカサギが岸に集まっている。これは絶対イトウも近くにいると確信、濁りもそれほどない。思った通りにすぐに中型のイトウが釣れた。

ワカサギの産卵。たまたまスポット的に見つけたワカサギの産卵場所。陸に上がって、あちこち歩き回ってワカサギの様子を観察する。不思議な事に北側にはワカサギがいない。 南に面した砂利場にはワカサギがたくさん泳いでいる。南斜面は太陽があたり、気温が上がる、湖底の温度もあがる。斜面には雪もない。そして、じわ~っと地面が濡れている。湧き水がある証拠。

朝一にイトウが釣れ、岸にすわって休憩していると、岸際に群れるワカサギにイトウがボイル。大きな波紋が広がる。1匹釣れたので、おおらかな気持ちでお茶を飲みながらボイルを眺めた。休憩を終え、岸からキャステング。シングルハンドでタイプ2で静かにアプローチ。岸から2mまでイトウが近づいてくるのでウエーディングはしない。潜水艦のように不気味な波紋をたてて、ワカサギを追いかけ回すイトウ。

3投目でフライに食いつき、水中でギラギラと光るが、残念。すっぽ抜け。

それでもまだ別の場所でボイル。岸際で 3匹がボイル 。岸際を逃げるワカサギの群れ、ときどきバシャパシャとワカサギは飛び跳ねて逃げる。キャストを繰り返すもヒットしないまま1時経過。岸際の大きな波紋に向ってキャストを繰り返す。


食わない、見きられているのか?状況を変えようとボートにのって、沖からキャスト。

1投目で、水中を柔らかく動くマドラーゾンカーに大きなイトウが追いかけてきて、ゆっくりフライをパク。 大きく竿が曲がる。

イトウ釣り初チャレンジで2日間で3匹のイトウをキャッチできた強運のゲスト。明後日からパラオにジャイアントトレバリーを狙うと言って帰っていった。恐るべしアングラー。

ワサカギの産卵は到達水温ではなく、植物と同じように積算気温が大事という。ワカサギの生体、産卵場所、砂利場、湧き水、逃げ込めるブッシュ、川の流れ込み、ちょっとした自然の知識と自然が発してくれるヒント。ヒントに気づく人、気づけても釣れない賢い魚。技術と魚と知恵比べ。それを取り巻く自然。自然は常に動き、変化する。いつも思い通りにいかないい、つかめそうでつかめないイトウは太古の魚。だから面白い。

コハクチョウがキャッキキャとV字飛行を乱しながら飛んでいく、ときどき後ろでバシャーンとでっかい音をたてミサゴが魚をつかんで飛んでいく、それを狙ってオジロワシがトドマツのてっぺんで見張っている。ウグイスがホーホケキョとまだ下手な谷渡りを聞かせる。ツツドリのポポポポもまだへたくそ。とつぜん、キリキリケーンとクマゲラが頭の上を飛んでいくも、釣りに夢中なゲストはフーンって感じ。それでも1人楽しむ私だった。

なんか声がちがうと思ったらここは道北。ハクチョウは十勝ではおめにかかれないコハクチョウだった。プチ嬉しい。


冬の到来は美しいが雪解けは?

不思議な模様に、氷に詰まってボートで出られなくなる。


毎年お世話になるレイクハウスは、少しづつ変わっていって、ここで毎年決まってこの時期に会う、全国から集まる釣り人たち、そしてローカルの仲間たちともとても楽しい。

PS、魚探を導入しましたが・・・、初めて魚探というのを使ってみたら、魚の絵がでてワクワクする。だけどこの魚探、どこに行っても魚の絵が大量にでるので、ワクワクさせてくれるだけで、怪しい魚探。イトウ釣りのガイドが急遽、キャンセルで、1週間ほどフリー。ちょっとリサーチできそうでラッキーなウイーク!



Lodge Lucky Field 
http://lodgeluckyfield.com