世界中を釣り歩いたYさんと、スエーデンから来たZさん。釣りの話は国境をこえて、そして、Yさんのクライマックス戦が始まります。
初日の魚は、予定外の口先の尖った魚でどこから来たのか?望遠カメラで撮るとカメムシを食べている様子までもわかる。写真を撮るのは簡単なのですが、この魚にフライを食わせることができるかが問題。
秋の日差しはあっという間で、魚が活発にライズする時間もあっという間に日が暮れる。それでもライズを続ける魚とじっくり、焦らず対戦した。
時々強い風が、山から吹き降ろし。どこまでも木の葉を空へと吹き上げていく。木葉の最後の旅に目を向けながら、影を伸ばす薄い光にたそがれる。繁殖期を迎えたオスジカの声を聞けば、今年一年を振り返る。風情といえばそうだけど、あたりまえに繰り返される季節に、またここに淹れることが一番の幸せに感じた。そして、ライズの主は、本命が現れ、定位置でじっくりと餌を食べ始めた。
水面に浮いて定位する魚が、30センチ先の虫に気づき、ゆっくりと流れてくる虫を、匂いを嗅ぐかのように近づいて、パクッと食べる。いよいよアワフキムシを本気で食べ始めた。
Yさんのガイドは何もすることがないので、私はカメラを持って魚の観察。フライをちらっと見たり、少し嫌がったり、他の魚を蹴散らしたり、落ち葉と虫をよく見分ける魚。冬に向けて食い貯めて、肥えなければいけない魚も大変だ。
こんな持久戦が、秋独特で、秋の日は短く、あっという間に日が暮れる。日中の暖かい時間に、虫が騒いだ瞬間に、パタパタとおとづれる少ないチャンス。その一瞬を、決める釣りが秋の面白さで、難しさ。ブラインドの釣りは、夏までに終わらせて、練習を終わらせて、10月の釣りがいよいよ本番。
私が一番釣りたい魚。一年で一番難しい釣り。総力戦の釣り。最高の1匹でした。