今年はコロナウイルスの影響で、プライベートで釣りに行く機会が多く。ロッジの横の川で散歩がてらにカゲロウの釣りを楽しんでいたのですが、朱鞠内湖も解禁という連絡をいただき、お客さんのガイドも急遽スタートとなりました。十勝のライズシーズンに後ろ髪を惹かれる気持ちでしたが、今年も朱鞠内湖に行くことができました。
朱鞠内湖は5月24日から31日までの日程で滞在しましたが、着いた日は桜が満開でした。今年は、5月に異常な暑さの日がなかったために季節の進みはゆっくりで、水温の上がり方もゆっくり。なので、ワカサギやウグイの産卵もゆっくりのようで、イトウの行動観察もゆっくり、まったりと進んでいきました。
毎年、迎えてくれるお地蔵様や亀さん。朱鞠内湖に暮らすもののけたちにまずは挨拶して釣りを始めます。
初回はイトウ釣りもはじめて、一度もイトウを釣ったことがないというゲストでした。。春のイトウ釣りのベストシーズンにキャンセルが入り、その空いてしまった日程にガイドを入れてくださったこの方は、幸運なことに人生初めての1匹目のイトウが超大イトウでした。コロナウイルスのおかげかな?と少し笑いました。その後もいいイトウに出会え、とてもいい4日間になりました。
広大で、複雑に入り組んだ朱鞠内湖を奥まで踏み入り、日の出を見て、日が沈み、風が吹いて、雲が流れ、白樺の花粉が水面に浮かび、花粉の下でライズする小さな小魚の群れ。カッコウが時を教え、ツツドリの鼓動が高まる心臓のようで、癒すかのようにコルリが間髪いれる。風が吹けばキビタキの声が爽やかに流れ、エゾハルゼミが対抗するように野鳥たちの恋歌を打ち消す。そんな自然の中にどっぷりと何も考えず(なかなか無にはなれませんが、、、)。湖の風に吹かれることに、なによりも幸せを感じ、「ぼくらはみんな生きている」とつぶやきます。
肩を骨折したというのに、それでもイトウに出会いたいと、毎度毎度投げるために痛い、痛いと連発。それで2日間頑張ってくれ、イトウもそれを応援してくれ幸運でした。ありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。
湖を一望できる、レイクビューの物件は、ニュウナイスズメが利用していました。アカゲラに払う家賃はいくらなのでしょうか?
たった1週間の季節の進みですが、北の春は早足です。オオカメノキの花が咲くと、その下にはウグイの群れに突っ込むイトウたちの勇敢な姿。今年も季節の進みを見ることができました。ウグイも産卵という大きなイベント。産卵を終えたイトウたちもそのチャンスに夢中。釣り人もそのイトウをなんとか釣ろうと必死。そんな三角関係を見て楽しむのが、この仕事の特権なのです。
この大きなオスのイトウは、産卵の時にオスどうしで喧嘩をしたのでしょう。頭や体にその時の傷跡がたくさん残っていました。勇者の傷でしょうか?たくさん子孫を残してこれまで長く生きてきたのでしょう。そして、釣り人からも何度も狙われて、何度も糸を切って逃げ、時には釣られ、賢くこれまで生きてきたのだろう。そんなことを想像すると、1匹の魚を大切に、敬意を評して、扱おうという気持ちが強くなります。
この写真もイトウです。優しい顔つき。だけど将来なにかやってくれそうな感じがします。大きなイトウがすぐ近くには、中イトウがいます。大きなイトウの姿をしっかりみて、学び、学習して、憧れて生きているのでしょう。将来有望な立派な魚です。体に傷が一つもなく、尾びれや尻びれが真っ白に透き通ったヒレ。体は銀ピカの白で、こんなイトウに出会えるのも幸せな気持ちになります。
腰の痛みを我慢して、痛み止めの薬を飲みながらもイトウを釣ってみたい。そんな背中をみて、イトウという魚の原動力の強さ。そして、なんとかチャンス、サポート、アシストができたらと思います。自然のサイクル、全ての動植物と魚とのうタイミングと、そして釣り人とガイド。全てがうまく噛み合ったときに、偶然奇跡は起ったのです。そして、
朱鞠内湖は、イトウ釣りを取り巻く自然環境、イトウの産卵、調査、保護。そして、私たちガイドや釣り人たちを快く受け入れて、送り出してくれる漁協やレイクハウスのスタッフの方々がいます。コロナウイルスで大変な時でしたが、コロナに負けない対策を考えてサポートに助けてもらいました。レイクハウスのスタッフの方々、漁協の方々の取り組みがあってこその朱鞠内湖です。感謝感謝です。ありがとうございました。
私のボートもなかなかです。針が刺さった傷も石でこすった傷も、小さな穴から少しづつ空気が抜けてきてしまいますが4時間に一回の空気の補充で大丈夫。そろそろ新しいボートも欲しいですが、「この色あせたボートの色が、魚を警戒させることなく、静かにストーキングができるんだ」と杉坂さんにからかわれます。十勝に戻ってしっかり修理が終わりまた頑張ってもらいたいと思いますが、いい相棒です。ガイドひとり。釣り人ひとり。のんびりとしたイトウガイドが無事に終わりました。
また、イトウ釣りのガイドは、11月と12月も楽しめます。今度は、冬を迎えるでっぷりと太ったでっかいイトウを一緒に探しに行きましょう!ガイドの空いているスケジュールは、こちらから確認できます。さて、いよいよ十勝。ドライフライの季節です。また季節の進みが楽しみです。