今年は雪が遅く、1月上旬まで山歩きは、長靴でのツボ足。林道をひたすらてくてく、歩いての鹿探しでした。1月中旬には、スキーで歩けるように、鹿がいそうな南斜面を静かに近づき、逃げられたり、うまくいったり。車を止めて永遠と歩くので1日5時間くらい山の中を歩いています。鹿が取れたら、それを引っ張って山を降りるので、体力仕事、体重が2キロ増え、脂肪ではなく筋肉がアップした様子。
鹿を獲れたらなによりなのですが、ゆっくり長い間森を歩くことがとても楽しくて、携帯も繋がらない(念の為衛生携帯電話を持って(持たされて)います)、場所で誰にも合わない、人工物もない、音もない。そんな世界を歩けるのも、冬と雪と鹿のおかげ、毎日の散歩のように、歩いて歩いて歩いていました。
時々、クマゲラに出会い、鹿を狙ってクマタカやオジロ、オオワシがいたり。エゾライチョウやキクイタダキに出会えるのも、針葉樹林の楽しみです。雪の森は空気が新しいような、不思議な味がするのです。この冬もたくさんの山の恵みをいただき、命の尊さ、大切さを噛みしめて、明日の糧に、感謝の山歩きでした。
エゾシカ肉は部位によっていろいろな使い方をします。獲ってすぐに血抜き、解体をし、肉を冷やして、持ち帰ります。ヒレ肉、ロース肉、もも肉、ネック、タン、リブ。など部位に合わせた熟成させます。脂っぽい部位、筋っぽい部位も適材適所でいろいろな料理が楽しめます。
この冬は、昨年からですが、「塩して熟成させる」という熟成方法にチャレンジ中。大きな肉の塊にはどれくらいの濃度の塩を使うか、何日間塩に漬けるか、水で塩抜きをするべきか、塩抜きしない程度の塩を肉に入れるか、などなど大きな鹿肉の塊に塩を入れて、抜くというのが難しい。感覚で掴めるようになるまでテストの繰り返し。
塩でしまった肉はプリップリの独特の食感と水気が抜けたどっしりとした味わいは別物です。カビも生えにくく、冷蔵庫の中で腐らず、そのまま生ハムになっていく。塩の不思議と塩の使いかた、まだまだいろいろ試しています。ご希望でしたら、ロッジにて、鹿肉の美味しさをお楽しみあれ、そして禁断の生は自己責任で!