イトウシーズン終了 Ito fishing guide

私のイトウのシーズンは11月月１日から始まります。11月に入ると虫がいなくなるのでドライフライの釣りは終わり。そして、沈める釣りをするならでっかいイトウに季節が変わります。

湖で狙う場合は、ボートからのキャスティングが多く、シングルハンドの９フィートの８番ロッドに、シンキングラインは、６mほどのシューティングヘッドでタイプ３からタイプ４を使います。春は、ワカサギやウグイの産卵に合わせてイトウが岸際を泳ぐので、イトウを見つけてねらうサイトフィッシングで狙うこともあり、その時はフローティングラインを使います。

本流での釣りは、ダブルハンド１３から１４フィートの８番ロッドで、６mから８mほどのシューティングヘッドでタイプ３かタイプ４を使います。本流のイトウ釣りは、川の水位が下がる、冬がシーズン。銀ピカで、太ってて、私が釣りたいイトウこそ冬のイトウなのです。ただ、4月はイトウの産卵が近づくので、イトウ釣りは三月上旬の雪解けが始まるまでにしています。

大きな川で、ダブルハンドで思いっきり飛ばして、スイング中に、透明度高い流れから、メーターオーバーのイトウがヒットする。その一瞬だけを夢見て、釣れない釣りを続けることができる人だけが、本流の冬イトウの面白さを知っている。ロマンしかない。

手がちぎれるほど、水が冷たい。景色が真っ白になるほど、雪で視界が悪くなる。そんな日があたりまえ。白黒のモノトーンの世界が、余計な色も音もなくなって、それで際立つ物が、抜群に美しいのが冬。冬の楽しみは3月になると、光の強さと一緒に徐々に緩んでくる。

冬の動物のガイドの隙を伺いながら、次の低気圧の動きをみながら、ラストチャンスのイトウ釣りでした。車を止めて、深い雪のなかをスノーシューを履いて、額に汗が流れてくる頃に辿り着いた流れ。ドンと大きな太い流れ、風もない、ホワンとした天気。初めて１時間ほど、12時でした。

ダブルハンドにティペットはグランドマックスの５号。さっきまで根がかりの連続で思いっきり糸を引っ張っても切れないのを知っているので、魚がかかった瞬間、思い切り竿を絞りました。大きく曲がったダブルハンドのパワー。それでも糸を引きずり出していくイトウの重たい抵抗。格闘の時間は15分ほどだったか、なかなかの力と力の勝負でした。

やっぱり冬がいい

イトウを守る、環境を守る取組

イトウを守るのは、釣り人。イトウが暮らす環境を守るのは釣り人。これから先もイトウ釣りを楽しむために、イトウのガイドで仕事を続けていくためにも。私はイトウを守る活動を応援します。15年前からイトウの会に参加させてもらって、イトウの調査に参加させてもらっています。今年もイトウの産卵調査。今年は北大の学生さんも協力してくれて、肉体労働もかなり楽。

イトウの産卵場所にニジマスがいると、イトウが産卵した場所をニジマスが掘り起こして産卵してしまうことがあるので、ここでのニジマスの産卵床は壊します。ニジマスに悪気はないのですが、イトウという本来の北海道の在来種を大事にしなければならない。野生動物の保護、管理は釣りを楽しむためにもとても重要なことだと思います。

調査は、産卵を終えたイトウを一度安全に捕獲し、計測し、川に戻す。そして、産卵床（産卵場所）の数を数えて、イトウが増えているか、減っているか、20年以上毎年やり続けている調査です。

イトウを守るために、自粛期間、自粛エリアでの釣り。トリプルフックは使用しない、バーブは潰す。魚のランディングは水中で、目の細かいネットですくう。魚の写真を撮るときに、魚を水中からあげる時は3秒のみ。産卵場所に近くでは釣りをしない、産卵シーズン直前のイトウは釣らない。SNSはほとぼり覚めてから。

大事なのは、フィールドと魚。信頼できる仲間。

GWを終えて、イトウ釣りのガイドシーズン突入。

たくさん釣れた人も、厳しい釣りになった人も、5月の季節の進みは、あっという間。まだ雪が残る世界から、新緑のハルゼミの鳴く季節まで、水面に、竿を振って、糸を握り、オオルリやキビタキ、カッコウやツツドリの鳴き声が夜になっても頭に響くまで、自然のなかで生活して、朝から晩まで、頭の先から指の先まで、すっきりと浄化されて帰っていったことでしょう！

皆様、本当にありがとうございました。これからもイトウが育つ環境を守り、イトウを育てて、次のシーズンをまた一緒に迎えることができたらと思います。