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放浪画伯さん

6月上旬 十勝のガイドのスタート 今年は雪解け水の収まりも早く 虫も飛んでツバメも飛んで一気にシーズンイン 

今シーズン最初のガイドは放浪画伯さん(村上康成さん)でした

モンカゲロウとブラウントラウト 6月のマッチザハッチのシーズンに的を絞って遊びにきてくれました 


村上さんが来られる前に(長いガイドシーズンの前に)  川のチェックと自分の釣り 

例年通りの虫の様子 魚の様子 シーズン初めは川を歩くだけでも心弾みました


1人で川を歩く時はリサーチも兼ねての釣りなので最上級者限定コースになります 危なくてオススメできない区間で ニジマス ブラウン オショロコマが釣れました 結局あまりリサーチにはなりませんでした 



ブラウントラウト
ブラウントラウト
竿はグラスロッドが好きで 杉坂隆久さんが試作で作ってくれたホワイトグラスの4番5番が長いリーダーやティペットを扱うドライフライの釣りには抜群に良いです 

柔らかい竿は少し力を入れすぎるとループが乱れてしまいますが 慣れてくると綺麗に飛ぶようになります 硬い竿と違って繊細で近距離の釣りには適しています と言っても普段使い慣れている竿が1番いいと思います 

ちなみに杉坂隆久さんのホワイトグラスは近々ティムコさんから発売されるそうで北海道のニジマスをターゲットとしたグラスロッドとしては抜群に良い竿だと思います 

エゾスカシユリ
エゾスカシユリ
話が外れてすみません 

村上康成さん 知る人ぞ知る 大の釣り吉の絵本作家さん 10年ほど前からお友達?でしたが 実際一緒に釣りをするのは初めてで 今回ガイドさせてもらうことになって楽しみでした 

前回はエゾモモンガの大作をロッジで完成させていただき 今回もたくさんのお土産をいただきました


エゾモモンガ大作
エゾモモンガ大作
村上康成グッズ
村上康成グッズ
まず 初日は モンカゲロウがわんさかハッチしている川で そこそこのブラウントラウトと50センチのニジマスを釣りましたが 大きな魚には2匹とも糸を切られてしまいました 

岸際で羽化するモンカゲロウにライズする60センチのブラウンを2人でじっくり観察して 待ち伏せして モンカゲロウフライに食わせたのですが 痛恨のラインブレイク ものすごいパワーで糸を切られてしまい初日から反省会でした 

そしてドラマが起きたのは 2日目でした 



2日目は気分を変えて広い川に行きましょうとモンカゲロウのハッチに期待してライズを探しました 

ハッチが始まったのは11:00ころ 水面がバシャバシャとライズだらけ モンカゲロウもわんさか飛んでいきます 無我夢中にライズに向けてフライを投げると ニジマスの入れ食いでした 釣っては逃して釣っては逃してと ニジマスのサイズも30cmから40センチでなかなかのファイター おおらかな気持ちで釣っている時 

水面に浮かんだモンカゲロウのフライをでっかい口で食いついた魚に2人してびっくり しっかり合わせたつもりでしたが5秒ほどでポロリ 逃げられてしまいました  こんなでっかい魚がいるとは思わず2人してボーゼン


気を取り直してライズを狙っていると岸際で始まったでっかいライズ 今度こそとフライを投げると なんの疑いもなく食いついた 


そして始まったファイトは20分ほど やっとネットに収まったのは60cmのブラウントラウトでした 


何度もニュージーランド行っている村上康成さんですが こんなでっかいブラウントラウトはニュージーランドでも釣れなかったと 嬉しそうな顔でした やれやれ。
モンカゲのハッチとライズライズ
モンカゲのハッチとライズライズ
ライズしてたブラウントラウト
ライズしてたブラウントラウト
お見事!
お見事!
大きなブラウントラウトが釣れたので 2人して大満足 河原でのんびりお弁当を食べて もう帰ろうか!?という満たされた気分 だけどやっぱり竿を持っちゃうのが釣り人の、、、

そしてこの後 信じられないような巨大な魚に遭遇するのを この時は知らない2人だったのです 

ファイト40分経過
ファイト40分経過
川に立ち尽くす村上康成さん
川に立ち尽くす村上康成さん
まさか 私も全く想定していなかった お昼を食べ終えてお腹いっぱいの2人 なんとなくいつもライズしているバンクを見に行こうと 行ってみたら 岸際ギリギリでライズしている魚を発見 モンカゲハッチし確実にモンカゲのダンを食べているライズでした  

ライズを見てしまったらやっぱり釣るでしょう モンカゲのダンを投げたら1発でした 


フライをくわえた瞬間は魚のサイズがわかりませんでしたが 水面で反転した瞬間の魚の大きさは信じられないような大きなブラウントラウトでした 


それからファイトが始まって 竿は曲がったまんま動かないし 魚が岸際の倒木にもぐらないか心配だし 流れは太くて重いし とにかく集中の時間でした 


岸際の浅い場所に寄せようと3度チャレンジ ネットを近づけるたびに逃げる魚 あともう少しなのに なかなかしぶとい 太ももの太さくらいある巨体 じっと潜って動かない じっくりゆっくりよせてネットを近づけた瞬間に猛ダッシュ 緊張の瞬間が長いこと 

緊張の我慢ができなかった私の負けでした 久しぶりの屈辱でした その巨体にちょっと気持ちが早まってしまいました 手が届くところまで来ていたのに 2人して 動けなくなって 何も言えなくなって 川に立ち尽くすしかありませんでした 

まさかこんな思いをするとは 午前中の夢のような時間はすっかり吹っ飛んでしまいました 

その後もライズを2匹見つけたのですが、どちらも岸際の倒木に突っ走られて糸を巻かれてなすすべなく 


それが2日目でした 


3日目の朝 村上さんが フックが曲がらない丈夫なモンカゲフライを一個作って欲しい と 言ってくれたので では 

モンカゲロウを1匹描いて欲しいと言ってみたら

ニヤリと笑って 描き始めました 


これこそ そんな体験をしないと描けないという 面白い作品の完成でした 



そして3日目の釣りは リーダーを2エックスに太くして ティペットをつけずにフライを直結 狙う魚は1匹のみ あの魚だけ 

昨日の屈辱 あの巨大魚の悪夢 そして 見つけたバンクぎわのライズ

もしやあいつ?

1発で見事に食わせた魚 反転した瞬間 

イヤ 奴じゃない 

ポロリとフックが外れて逃げていった 70センチくらいはあったように見えたけど あいつの呪いは消えないだろう 

結局バンクのライズはその1匹だけで奴に遭遇はしないままに終わった 


慰めるように 帰りがけに見つけたライズを狙ったら前日と全く同じ60cmのブラウンが釣れた 斑点を写真で確認してみてやっぱり同じ魚だった

「頭が悪い人気者だからヤスナリ君と名付けよう」と村上さんと笑った 


康成君と康成さん
康成君と康成さん
素晴らしい3日間が終わって 早速 また次のガイドの予約を決めてくれた そしてこの絵の続きを完成させよう と約束 

面白いドラマとそれが全て詰まった作品が描かれた いろんな人がいろんな思いで釣りの形を作って 帰っていく その形が絵というのもまた面白いと思った 


たまには魚をバラすのもいいなぁと思った 


ありがとうございました 放浪画伯さん



放浪画伯 村上康成さんの思いで
放浪画伯 村上康成さんの思いで